発達障害の方へのEMDR

Pocket

 

autism「発達障害の方へのEMDR」と申し上げても、発達障害の方への常に正しいEMDRのやり方があるわけではありません。発達的に健常な方の場合も同じですが、どのようにEMDRのプロトコルをその方の問題に適用するかについてクライエントの話しを聞きながら考え、試行錯誤しながら進めていきます。
発達障害の方へのEMDRで主要なテーマとなるのは、発達障害であったことが発覚する以前に周囲から誤解された挙句に学校でいじめに遭ったり職場でハラスメントに遭ったトラウマ体験です。特に大人になってから発達障害の診断を受けられた方は、周囲の誤解と無理解から壮絶な傷つき体験を幾つも幾つも抱えておられることがあります。くり返し起こったいじめやハラスメントの被害体験の結果、トラウマ記憶が起こす映像のフラッシュバックとともに「自分はどうしようもないダメ人間」或いは「生きるに値しない」などの否定的な認知が起こって苦しむ方もおられます。EMDRではこのような否定的な認知を「障害がありながらもなんとかやってこれた」「私は適切な手助けをしてもらうだけで価値ある生き方ができる」くらいの、その人にとって落ち着くところまで、トラウマ記憶に付随する認知を肯定的なものに置き換えていきます。
発達的に健常な方のトラウマの処理は、ポイントになる代表的な出来事をいくつかターゲットにして再処理するだけで終結に至る方も多いのですが、発達障害の方の場合は人によっては、それまで抱えてこられた複数のトラウマ記憶の全部を一つ一つ片付けていかなければ片付いてくれない方もおられます。しかし一つ一つのトラウマ記憶を再処理して片付けていけば、ちょっとずつではあっても確実に効果が見られるようです。
何ケースも症例に当たる間に、発達障害の方のトラウマ記憶は、純粋にトラウマ記憶のフラッシュバックだけが起こっている場合と、発達障害の症状によって起こった情動の混乱がトラウマ記憶のフラッシュバックを引き起こす呼び水になっている場合があることが分かってきました。後者の場合は、発達障害の症状の扱い方を心理教育という形でご本人に情報提供し練習してもらっています。こうして上手に発達障害の方の症状をマネージメントしていけるように援助しています。そうすることでフラッシュバックの引き金を減らして、より再処理がスムーズに行えるようになるようです。
リソルサでは2週に1回ペースのEMDRで、今までのところ長い方でも1年前後で、発達障害の診断を受けられた方でもトラウマの問題から回復して行かれています。私どもは発達障害の方でも、できるだけ短期間で回復していかれるように最大限の努力や工夫を重ねています。

http://www.risorsa-emdr.com

Leave a Comment

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です