福岡県内の昨年の性犯罪の人口10万人当たりの認知件数(発生率)は11.3件で、大阪(13.75件)に次いで6年連続で全国ワースト2位です。福岡県の犯罪被害者の年代別では10~20代が78%となっています。
福岡県の資料から月別の認知件数を見てみると、年間を通じて多く発生していますが、4月から増加し始め、特に5月から9月 までにかけて被害が増加する傾向があるようです。これを書いているのが4月ですから、これから被害が増加する季節に入ります。
性犯罪被害に遭うと、身体にも心にも強い衝撃を受けます。突然の被害によって、これまで経験したことがない気持ちや心身の変調が起こります。以下のような心身の不調が現れます。
・精神的に不安定になる
・被害の前後の記憶が曖昧。思い出せない
・何も感じなくなる
・物音などに過敏になる
・被害を受けた場面が突然よみがえる(フラッシュバック)
・身体の反応がある(動悸、震え、過呼吸、冷や汗、呼吸が浅くなるなど)
・自分を責める
(「性暴力被害者支援センター ふくおか」HPを一部改変)
性犯罪被害に遭われた方の場合、上の項目の中でも「自分を責める」という認知レベルでの変化が生じて長期間苦しまれる方がおられます。性犯罪被害など心身が圧倒される事態に直面すると「自分がダメだからあんな被害に遭った」「私は汚れている」「自分は正しい選択ができない」などの自己評価を一段低める言葉をどんどん溢れさせ、圧倒される事態の落とし所を作ってやり、何とか自分の中で事態の収束を図ろうとしてしまいます。こうでもしないと心が破壊されそうになるので、自分の心を守るために無理矢理でも自分を低めて事態の収束を図ろうとする無意識の心の働きがあるようです。しかし、ここで生じた否定的な自己認知がクセになって残り残りつづけてしまうことで被害の後、長期間に渡って苦しまれる方もおられます。何か起こる度に自己否定の言葉が頭の中で飛び交ってしまう方もおられます。
EMDRでは、フラッシュバックする映像記憶、身体の反応、「自分を責める」など否定的な自己認知をいっぺんに再処理していくことができます。被害に遭って以後、なにか起こる度に自分を必要以上に責めてしまうクセがつくなどという形で、残りつづけていた認知の歪みが修正されていくのをお手伝いさせていただくこともあります。