フラッシュバックが起こる際に過覚醒も伴う方はよくおられます。本人もコントロールできないまま怒りの感情をぶちまけてしまうので、我に返ったとき罪悪感を持たれる方もおられます。周りの人が疲弊することもあります。そんなときの対処法について今回は述べます。
1.呼吸法による安定化
ご本人に「空気をゆっくり鼻から吸って、口からゆっくり吐く」を数回くり返してもらいます。このとき「ゆっくり吐く」方により重点を置いてもらうとリラックス感が得られやすくなります。身体が少しリラックスできると、脳の覚醒水準は下がります。シンプルな方法ですが多くの人に効果が見られます。
2.グラウンディング
椅子に座った状態で、地球の引力を感じてもらうよう働きかけます。身体を支えてくれている椅子や地面との接点に重力がかかっていることを意識してもらいます。細かく注意を向けやすいように言葉で具体的に誘導していき、「違う世界」に飛んで行ってしまわないように、リアルな世界にとどまっていられるように練習してもらいます。くり返し練習すると自分を自分で誘導することができるようになります。
3.水を飲む
過覚醒状態に陥っているときにコップ1杯の水を飲み干すことで、ふと我に返ることができ、リアルな自分を取り戻すことができる人もいます。これは過覚醒発作が起きたときの、自分でできる対処法として練習してもらう場合もあります。
4.リソース記憶にアクセスする
EMDR面接を行う際には必ず「安全な場所」やその他のリソース記憶(プラスの記憶)を開発します。
過覚醒発作が起きる前や起きてしまったときに、EMDRセッションの中で開発した「安全な場所」やその他のリソース記憶に意識的にアクセスできるように、日常生活でも練習してもらっています。
リソース記憶に関係した映像を、DVDやYoutubeで再生して観てもらうことが有効な方もおられます。
リソルサでトラウマ記憶の再処理療法を行う際には、問題を抱えておられる本人の特性に応じた対処法を生活の中に取り入れてもらっています。